認知症に指気功

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 2025年の日本では65歳以上の3人に1人が認知症とその予備軍(厚生労働省予測)――しばらく前からテレビや新聞で目にすることが多くなったこんな情報に、私はしばしば考え込みます。昔の人は不老長寿に憧れたものだけれど、夢は夢に過ぎなかったのかと。

 老人ホームが足りなかったり虐待が起こったり、悪徳後見人に被害を受けたりと、制度や人間の心に潜む魔性も問題になりますね。
 それでも、古人が「自ら其の生を養う」ことを目指したように、養生法の智恵を持ち出して強く生きていきましょう。

 国立長寿医療研究所では、認知症予防にコグニサイズなるトレーニングを提唱しています。私が編んだ現代的な気功に通じるところもあっていいと思いますし、かつて流行っていた(今も流行っている?)指回し健康法も認知症の予防や初期認知症の改善に有効でしょう。

 ドイツの大哲学者カントは「手は外部の脳」と言ったか書いたかしたそうですが(まだ私自身確認はしていませんが)、手指の霊活な活動というのは人類の大きな特長のひとつですね。繊細巧妙な働きをする手指をもって、人は多くの創造を成し遂げてきました。

 下図はよく見かけるものですね。大脳皮質の運動野と身体の各部分の対応を示した外科医ペンフィールドによる図で、手指の働きに脳がいかに深く関わっているかがわかります。

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 指をよく使うことは頭の働きを良くすることにつながるとは中国でも昔から言われていたことです。
 認知症予防に、前掲のトレーニングに加えて指気功はいかがでしょうか。

 まずご紹介するのは、かつて私が習得した少林気功搭指通経法を簡略化したものです。
立って行なっても坐ってもけっこうです。病院で気功の指導をしていた時は、ベッドから立てない方にはベッドの上で練習していただいていました。

 基本形は、肘を身体からあまり話さずに曲げ、前腕が床と平行になるように上げ、五指をゆったりと伸ばします(写真は見やすいように片腕だけですが、両腕とも上げます)。

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 基本形から、指を1本1本、30秒ぐらいずつ写真のように下ろした形を保ちます。その順序は、中指2回→小指1回→薬指2回→親指1回です。詳述は避けますが、この順番はそれぞれの指を通る経絡に関わります。

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 また、ゲームのように指を動かしてもいいでしょう。人差指以下の4本の指を、2本―2本、1本―2本―1本、1本―3本など、素早く動かして組み合わせてみましょう。老人ホームなどでも採り入れられる簡単なゲームになりますね。

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 もうひとつは、武術の名門・少林寺に達磨大師が伝えたという伝説がある易筋経の応用です。握力や指の力を鍛えることにもなります。
 虎の掌のように5指を屈した基本形から、指を1本ずつ伸ばします。伸ばす指を充分に意識し、伸ばしにくい指はもう一方の手を借りて伸ばしてもかまいません。多くの方は薬指がやりにくいでしょう。

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 先の練習に比べるとやや難度が高いのですが、他の練習で指がある程度やわらかく自由に動くようになったら試してみて下さい。
 脳に栄養を送る食事の内容も認知症予防に大いに関わることになりますが、それについては改めて触れたいと思います。

楊秀峰

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