宮廷21式呼吸健康法
生活習慣病・慢性病に効く 中国・清朝の秘伝
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気功と食事で血圧管理(2016.2投稿)

 先に胃腸を痛めないように気をつけましょうと書きましたが、冬場の健康管理でもうひとつ留意しなければならないのは、寒くなると上昇傾向が表れる血圧ですね。

 ちなみに日本高血圧学会の資料を見ると、高血圧の指標は140/90mmHgとなっています。もちろん測定時にこれを少しでも外れたら危ないということではありません。血圧は時々刻々変動し、ちょっとした気分の変化にも影響されるものですから。

 今回は、日頃血圧が高めの方にお勧めできる食材をいくつか挙げてみましょう。

 私が教室でよく紹介するのは、セロリ、たけのこ、しいたけ、黒木耳等々です。

 いずれも中医学でいう清熱効果があり、解毒・排毒の点から身体にとって大変重要な通便を促します。

 セロリは利尿作用がとくに知られ、たけのこは食物繊維が豊富で化痰(水の滞りである痰を融かす)作用もあります。しいたけも食物繊維が豊かで、動脈硬化予防に有効な成分を含み、とくに干ししいたけがカルシウムの吸収を促進するビタミンDを多く含むことは多くの方がご存じでしょう。

 黒木耳の効能もすばらしいもので、これについては改めて一項を立ててご紹介したいと思いますが、血管を軟らかくし、活血・涼血等の作用があります(くだいて言えば、血液の質を改善して疎通を良くするということでしょう)。

 以上のような食材を、例えば豚肉と炒めて食卓に供してはいかがでしょう。

 中国人にとって肉といえばやはり豚肉で、私も病気からの回復途上にある方には豚肉をよく勧めます。

 というのは、豚肉に多く含まれるビタミンB群(B1)は糖質をエネルギーに変えるのに欠かせないものだからです。これが不足すると疲れが抜けなかったりイライラしたりと心身がなかなか安定しません。

 冬場に羊肉を食べて温まろうという方もいますが、羊肉に比べて熱が身体にこもらないのも豚肉の良いことのひとつですね。

 抗酸化作用のあるごま油を使って調理すれば風味も良くなるでしょう。多少料理をなさる方は、もう2つ3つレシピが頭に浮かんでいるでしょう。

 次は気功です。白衣高血圧、つまり医師や看護師の白衣を見るだけで緊張して血圧が上昇することがあるように、気の持ちようも血圧の変化を招きます。

 そこを逆手にとって、簡単なイメージ操作を伴う「降圧功」をご紹介しましょう。やり方は以下の通りです。

 1 両足を肩幅ぐらいに開いて立ち、全身のよけいな力を抜いてバランスをとり、目を半眼にして気持ちを落ち着ける。

 2 手のひらを下に向けて両腕を体側からゆっくりと胸の高さに上げる。手のひらの真ん中の「労宮」のツボから気が入ってくるとイメージし、“リラックス”等の言葉を頭に浮かべる。〔以上は吸気とともに行なう。〕

 3 肩と肘に力が入らないように注意し、両手のひらをゆっくり向き合わせながら肩幅ぐらいまで近づける。同時に、気が「労宮」から胸の真ん中にある「膻中」のツボに入るようにイメージし、また“リラックス”等の言葉を頭に浮かべる。〔以上は呼気とともに行なう。〕

 4 両手のひらを下に向け、両腕をゆっくりと下ろしながら、膝を少し曲げる。腕を下ろし切った時、両手の中指先が土ふまずの少し前にある「湧泉」のツボにつながり、気が「膻中」からへその下の「丹田」、「会陰」、「湧泉」のツボに下りていくようにイメージする。〔自然呼吸で行なう。〕

 5 ゆっくりと膝を伸ばす。これを10~20回繰り返し、最後に「湧泉」に意識を置いたまま数回呼吸して終了する。

 宮廷21式呼吸法の第1式、第2式も有効です。(→宮廷21式呼吸法ガイド参照)

 私はよく楽天的だと言われますが、「人間万事塞翁が馬」、苦あれば楽ありと前向きに考えることも大事です。前向きにピンチを乗り切りましょう。

楊秀峰