宮廷21式呼吸健康法
生活習慣病・慢性病に効く 中国・清朝の秘伝
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みかんの恵み(2015.11投稿)

 みかんがおいしい季節になりました。スーパーに行くと、いちばんなじみのある温州みかんが大中小とサイズ別に山と積まれています。

 あまりに身近な果物なのでありがたみを感じることが少ないかもしれませんが、みかんは自然の恵みに満ちて余すところがなく、中国では「橘頌」と呼ばれるほどなんですよ。

 祖母から教わったみかんの効能の主だったものは、外皮は胃腸の調整や去痰、薄皮のすじは不妊症やせき止めと風邪の予防、種はせき止め、香りはうつ病に用いるというものでした。

 また、最近、テレビや雑誌ではバナナを焼くと甘みが増すとしばしば紹介されますが、“焼きみかん”も中国、日本の一部ではおなじみで、糖度が増すだけでなく、止咳作用も強まります。

 漢方では、温州みかんなどの果皮を乾燥させたものを「陳皮」(「陳」は「古い」の意)と呼び、上に書きましたように行気健脾(気を巡らせて消化をつかさどる臓腑である胃腸を調整する)、去痰の効果を持ち、六君子湯、平胃散などのよく知られた漢方薬に配合されます。

 日本でも料理に使う方が増えたスパイス「五香粉」にもこの陳皮が含まれています(手元にあるS&Bの製品にはなぜか「ちんぴ」とひらがなで書かれていますが)。鶏肉の唐揚げなどに用いると風味が増しますね。

 細かく言いますと、橘紅(果皮の外層)、橘白(内層)、橘絡(すじを含む網状維管束)、橘核(種子)、橘葉に分かれ、それぞれの効能を持っています。

 これからはみかんの仲間であるゆずやだいだい、金柑も活躍する時季です。時々はこの自然の豊かな恵みを充分に味わいながら、その余得も活用してください。

楊秀峰