宮廷21式呼吸健康法
生活習慣病・慢性病に効く 中国・清朝の秘伝
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「湿邪」を吹き飛ばす「摘星換斗」(2018.6投稿)

今年は少々早い梅雨の入りでした。

これからひと月ほどジメジメしたうっとうしい天気が続くわけです。

もっとも、気候の変化があるからこそ、とくに日本では四季折々の風景の変化を楽しめ、農産物が順調に生育するのですから、人間が不満ばかり言うわけにもいきません。

中医学では、天候の変化を風・寒・暑・湿・燥・火の6文字で表わし、「六気」と称します。

そして、「六気」の変化がはなはだしく人の心身に大きな影響を及ぼすようになったものを「六淫(邪気)」と呼びます。

もちろん気候変化への感受性は人それぞれですから、健康な人にとっては何でもない違いであっても、心身の抵抗力が落ちている人にとって「六気」は容易に「六淫」に変じることになりますね。

さて、梅雨の時期に問題になるのは皆さんがおそらくお察しのように「湿邪」です。

ジメジメ、ベトベトというこの時節のイメージどおり、湿邪の性質は粘滞・重濁という言葉で表わされます。

湿邪が侵入すると、人体を流れる気・血・水の通行は滞り気味となり、消化を担当する臓腑である脾胃の働きを低下させて胃もたれ、下痢などが見られ、むくみ、全身のだるさなどもあらわれます。

湿邪が関節に停滞するとリウマチ(関節リウマチは中国語では「風湿性関節炎」といいます)の症状は増悪し、そこまで行かなくても膝や腰の痛みが増すという方も多いでしょう。

血液の循環障害とも言える瘀血(おけつ)が生じると様々な病気の要因となりますし、リンパ管系のめぐりが悪いと私の祖母が重視していた解毒・排毒がよく行なわれないことになります。

湿邪の停留を防ぐ方法はいろいろありますが、私は主に気功をお教えしていますので、「宮廷21式呼吸法」からひとつ採用しましょう。

第15式「摘星換斗」です。

後ろを向いていっぱいに腕を伸ばし、腕内側を張って心包経を刺激します。血液、リンパ液の循環を促し、湿邪の滞りを解消し、高血圧や心臓疾患の改善にもつながる、この時期にうってつけの動作です。

少々バランスを取りにくい動きですが、後ろ向きから前向きになり足の指を1本ずつていねいに地につけて行くと、各指を通る経絡を刺激してアンチエイジング(抗老化)にもいいでしょう。

私の写真やこのホームページにある解説を参考にぜひ試してみてください。

楊秀峰