この年末年始は所用があって北京に帰っていました。日本でたびたび報道されているとおり、たしかに北京の空は晴朗というにはほど遠い状態でした。そのうちに「北京秋天」などという言葉はなくなってしまうかもしれません。
この時期、中国の社会では大きな変化がありました。人口圧力に社会が耐えられないことを心配して始められたいわゆる「ひとりっ子政策」の廃止です。
人口構造のゆがみ、少子高齢化の急速な進行などをもたらしたとされるこの政策は、40年近く続いたことになります(抜け道もけっこうあったのですが)。今、女優として活躍している娘の王汀も「独生子女」の一人です。
「小皇帝」と呼ばれるほど大事に育てられたひとりっ子たちは、以前の世代と比べて甘えん坊だとか自己中心的だとか言われていますが、いずれにせよ彼らがこれからの中国を支えていくわけですから、見守りたいと思います。
さて、私の第二の故郷である日本に戻って数日後、今年も各地で成人式が行なわれました。それぞれの人生にも日本の社会にも前途に困難はあるでしょうが、いつも「がんばって!」とエールを送りたくなります。
私は中国にいた若い頃から雑誌などで見た日本の着物が好きだったので、街中でも美しい着物姿を見かけるとつい目が行ってしまいます。
ただ、今まで雑誌の取材などで語ったこともあるのですが、若い女性を見るとどうしても気になることが……。
それは身体の変化です。姿勢の悪さや腰回り(将来、大事な赤ちゃんが育つところです)の硬さなどが目立ち、それらは低体温、冷え性などにもつながります。
日頃の食事上のアドバイスは著書や雑誌記事にずいぶん書きましたので、今回はお勧めできる簡単な運動をご紹介します。
ひとつは転腰、つまり腰回しです。フラフープ(知らない方もいらっしゃるかも)を回すように――ただしゆっくりと――腰を何回も回転させます。
転腰は、中国の回春功(若さを取り戻す気功)の主要な練習法のひとつです。ポイントは、腰で描く円の前後の奥行きもきちんと意識すること。つまり、楕円ではなく正円を描くようにしてください。
次の運動は足首回しです。両足を伸ばして坐ってから右(左)足を左(右)太ももにのせ、左(右)手で右(左)足先をつかみ、足首をていねいにぐるぐると数十回回します。反対回しを入れても時間はかかりません。
足首だけでなく、手首・首の気血の滞りを解消することは、全身の気血を流通を促すことにつながり、前記の転腰と併せて行なうと、大げさにいうと生命力の底上げを図ることになります。
三つ目の運動は足上げです。前へ、横へとリズミカルに膝を繰り返し上げればよろしいでしょう。
簡単な運動ばかりですが、身体を温め、腸を調整したり骨盤内の血液・リンパ液の循環を促したりするばかりでなく、健康な赤ちゃんを産む準備にもなりますよ。
今年は、短期特別コースで「中国養生法に基づく妊活講座」も開きたいと思います。
サッカーのなでしこジャパンばかりでなく、日本のそこここで、普通のなでしこたちが健やかに育つことを心から願っています。
楊秀峰